昨日2026年2月21日(日本時間、昼頃)に速報がありました。いわゆる「トランプ関税」のうち、IEEPA(米国際緊急救済権限法)に基づく「相互関税」に関する部分です。トランプ大統領は直ちにTrade Act of 1974 Sec.122に基づく15%のグローバルな適用(これは150日間。その後は同法301条に基づく長期間の関税に置き換え)を行う旨報道されています(WSJなど2月21日付。なお本日日経朝刊では「10%」となっていますが、大統領は最高裁判決直後の記者会見で言っていたその数字を更に嵩上げしました)。会見での発言を聞く限り「相互関税」で支払った関税を米大統領は簡単に返す気は無いようですが(「法廷で何年も争うことになる」、と言っている)、新たな「15%」に充当して還付しないのか、そのあたりのロジックは現時点で不明です。当事務所は依頼者の米国税務申告について米国会計事務所と協力して対応していますので、今後の動向に注目していきたいと思っています。
なお、最高裁判決はこちらをご覧ください:
https://www.supremecourt.gov/opinions/25pdf/24-1287_4gcj.pdf
(2026年2月22日記)
補足(2026年2月23日):「相互関税」による徴収の扱いがどうなるか要注目ですが、「相互関税」適用停止に関する2026年2月20日付けホワイトハウス大統領令から関連部分を抜粋(1条関連部分)しておきます:
In light of recent events, the additional ad valorem duties imposed pursuant to IEEPA in Executive Order 14193, as amended; Executive Order 14194, as amended; Executive Order 14195, as amended; Executive Order 14245; Executive Order 14257, as amended; Executive Order 14323, as amended; Executive Order 14329, as amended; Executive Order 14380; and Executive Order 14382 shall no longer be in effect and, as soon as practicable, shall no longer be collected. All other actions, including any other action taken to address the national emergencies declared or described in Executive Order 14193, Executive Order 14194, Executive Order 14195, Executive Order 14245, Executive Order 14257, Executive Order 14323, Executive Order 14329, Executive Order 14380, and Executive Order 14382, that do not impose additional ad valorem duties under IEEPA or involve steps necessary to implement the imposition of additional ad valorem duties imposed under IEEPA shall not be affected by this order. The national emergencies declared or described in Executive Order 14193, Executive Order 14194, Executive Order 14195, Executive Order 14245, Executive Order 14257, Executive Order 14323, Executive Order 14329, Executive Order 14380, and Executive Order 14382 or subsequent orders remain in effect and shall not be affected by this order.
仮訳:
最近の事態を踏まえ、改正された大統領令14193、改正された大統領令14194、改正された大統領令14195、大統領令14245、 改正された大統領令14257号、改正された大統領令14323号、改正された大統領令14329号、大統領令14380号、および大統領令14382号に基づき課された追加の従価税は、もはや効力を有せず、実行可能な限り速やかに徴収を停止するものとする。 その他のすべての措置(大統領令第14193号、第14194号、第14195号、第14245号、第14257号、第14323号、第14329号、第14380号、 及び大統領令14382号に基づき追加の従価税を課すものではなく、またIEEPAに基づき課された追加の従価税の実施に必要な措置を伴わないものは、本命令の影響を受けないものとする。 大統領令第14193号、大統領令第14194号、大統領令第14195号、大統領令第14245号、大統領令第14257号、大統領令第14323号、大統領令第14329号、大統領令第14380号、 及び大統領令第14382号、またはそれ以降の命令により宣言または記載された国家非常事態は、引き続き効力を有し、本命令の影響を受けないものとする。(注:太字強調は米国最高裁違憲判決に関連するため当事務所が注意喚起のため付したもので、原文には太字強調はありません)
補足(2026.3.1記)
2月24日にIEEPA相互関税は「フェンタニル関税」(対中、カナダ、メキシコ)とともに停止、代替10%関税が発動、トランプ大統領は今後15%に引き上げると表明した、というのが現時点での状況です。
「相互関税」に関する還付問題については「所長雑感」をご参照下さい。
補足(2026.3.6記)
この木曜日に多数の米州が今度の「トランプ新関税10%(後日15%への引き上げ予定)」の適用をしないよう裁判所に訴え出たとの報道がありました(WSJ5日付update)。根拠法である1974年法(上記参照)が目的とする貿易赤字の是正根拠がその後失われている(もともと同法は金本位制度のような固定相場制で発生する国際収支赤字対処で限定された関税を認めている。随分昔に固定相場制は終わっていますね)ということを理由としているとのことです。これも米連邦最高裁まで行きそうに思われますが、先般違憲判決が出た「相互関税」対応での日本の対米投資コミットメント(そして合意されていた関税上限)との整合性模索問題もあり(現在赤澤大臣が米当局と協議中)、なかなか容易ではない状況です。