米連邦最高裁によるいわゆる「トランプ関税」のうちIEEPA関税に関するものについて違憲判決が出て後、CBP(米税関・国境警備局)が還付システムの新設に時間がかかるということで国際貿易裁判所判事に一定の猶予をくれるよう頼んだ、ということは以前お伝えしました(所長雑感3月6日記)。その新システム「CAPE」(Consolidated Administration and Processing of Entries)ができたということで、CBPがこの4月20日から還付手続きに入ると発表しました。各社報道が出ていますが、第一次ソースをご覧になった方が良いでしょう。CBPの該当HPは以下の通りです:
https://www.cbp.gov/trade/programs-administration/trade-remedies/ieepa-duty-refunds
今回の情報により、還付を求める企業(未提訴の企業を含む)が直ちに行うべき実務は次の通りです:
1.自動還付ではなく能動的なアクションが必要
CBPのHPには、CAPE申告が受理されてから、コンプライアンス上の懸念等による追加審査がない限り、輸入者および公認通関業者に「通常60〜90日以内」に還付金が発行されると記載されています。その着金が保証されたわけではない点に留意しつつ、まずは税関の指定するフォーマットに従い、速やかに権利を行使(申請)すること。
注:CAPE申告は、IEEPA(国際緊急経済権限法)関税の還付を請求する輸入記録(エントリー)のリストで構成されます。CBPは、.CSVファイルにそれ以外の情報を求めません。個々のCAPE申告には、9,999件の輸入記録の上限があります。輸入者および通関業者は、複数のCAPE申告を提出することが可能です。CAPE申告のテンプレートファイルは、CAPEタブの「アップロード(Upload)」ボタンから入手できるようになります。なお、リストに記載された輸入記録の輸入者(IOR)、または輸入者に代わって輸入記録を提出した公認通関業者のみが、CAPE申告を提出することができます
2.還付金の受け取りには「ACEポータル」と「ACH(口座振替)」の設定が必須
還付を電子的に受け取るための事前準備が重要です。還付金を受け取る企業は、CBPの「ACE Secure Data Portal」のアカウント(Importerサブアカウント)を保有している必要があります。アカウント上で「ACH(Automated Clearing House)Refund Authorization」タブにアクセスし、米国国内の銀行口座情報を登録しておかなければなりません。未登録の企業は、まず税関に登録されている企業情報(Form 5106)のメールアドレスを最新のものに更新した上で、ポータル申請を行う必要があります。
3.自社の輸入記録の中から、「未清算」または「清算後80日以内」のものを抽出し、CSVファイル(CAPE申告データ)を作成すること。
還付を受けるには、輸入者(IOR)または公認通関業者が、ACEポータルを通じて「CAPE Declaration(CAPE申告書)」をCSVファイルでアップロードする必要があります。1回の申告につき最大9,999件の輸入記録(エントリー)をリスト化して提出する仕様です。待っているだけで小切手が送られてくるわけではなく、企業側が能動的に対象エントリーを抽出し、申請データを作成する実務作業が求められます。
なお、CBPのHPにあるように、全面的な返還手続きではないことに留意する必要があります。米関税のシステムには「清算」(liquidation)の手続きがあることをご説明しました。今回はこの清算手続きが終わっていないか、終わってから80日間以内の「一定の」(certain)ものが今回の対象となると限定してCBPのHPには書いていることが気になります。対象外のものについてのもの、例えば清算終了から80日を過ぎたものに関して第二陣の還付システムがあるのか不明なので、以前指摘した通り、protest(権利留保)の手続きを行っておくことは保守的にベターと考えます。
(2026年4月11日記)